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【MMD研究所】2020年乗り換え調査からみる、コロナ禍が及ぼす通信業界への影響

時計2020.12.15

更新2020.12.15

MMD研究所

■ コロナ禍の3月~10月、通信サービスの新規・乗換え契約は10.5%
―現スマートフォン所有者の契約年は2020年が13.4%、2019年は10.9%、2018年は9.8%、2017年は7.6%、2016年以前は46.6%

本年は新型コロナウイルスの影響で在宅勤務が推奨され、2020年新たに「仕事用のモバイル端末を持ち始めた」、「自宅のインターネット環境を整備した」という方もいらっしゃるのではないかと思います。弊社でも、在宅勤務になった影響で社員用にIP電話番号を取得するなど会社単位で通信契約を結ぶ機会がありました。

先日発表した、「2020年通信乗り換えに関する実態調査」のデータでは2020年3月~10月のモバイル通信契約に関する動向を発表しております。本ブログでは、上記調査より契約時期別のデータを用いて、新型コロナウイルスの影響による通信契約への意識の変化や2021年以降の通信契約の流動性について一部ご紹介いたします。

本ブログでは、docomo、au、SoftBank、楽天モバイル(Rakuten UN-LIMIT)の4サービスを大手4キャリア、Y!mobileとUQ mobileの2サービスをサブブランド、それ以外の自社回線を持たない事業者をMVNOとして記載しております。
※楽天モバイルにてRakuten UN-LIMIT以外で通信契約を結んでいる場合は、MVNOの楽天モバイルとしてデータを取り扱っております。

前回の調査リリース時にもご紹介させていただきましたが、コロナ禍であった2020年3月~10月の間でメインとして利用しているスマートフォンを契約した人の割合は10.5%ほどでした。日本のスマートフォン所有人口で考えるとおよそ740万人がコロナ禍でも新しく通信サービスの契約をしていたという試算になります。

2020年11月の調査時点で、スマートフォンを所有しているユーザー19,800人を契約年別にみてみると、2016年以前に現在メインとして利用している端末を契約したのは46.6%、次いで、2020年に現在メインとして利用している端末を契約したのは13.4%となっています。新型コロナウイルスの影響で、世の中的には支出を抑える傾向になりつつありますが、直近3年の構成比と比較しても2020年契約者の割合は落ちておらず、むしろ現状のスマートフォン所有者の契約年としては2番目に多い形になります。通信業界においては新規での携帯端末の契約控えや乗り換え時期の延期という動きはあまりなかったように思われます。

MMD研究所、2020年乗り換え調査からみる、コロナ禍が及ぼす通信業界への影響

■ 契約年別の集計データから見る、2016年以前~2020年の通信サービス契約の特徴
―2016年以前は大手3キャリアで9割、2017年からサブブランド・格安SIM契約者が増加、2020年は新型コロナウイルスの影響か店舗需要が減少

メインで利用しているスマートフォン端末の契約時期別にデータを見ると、各年に契約したユーザーの特徴が見えてきました。

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「2016年以前に、現在メインで利用しているスマートフォン端末を契約した」と回答した9,233人の契約している通信会社の内訳を見ると、大手3キャリアで9割、その内の約半数近くがdocomoで契約していると回答しています。また、2017年から大手3キャリア全体の割合が減り、MVNOやサブブランドでの契約者が増加傾向にあることが分かります。

2016年2月に「イオンモバイル」、9月に「LINEモバイル」といった現在のMVNOシェア上位のサービスが新たにスタートしました。名の知れた企業の参入により、この時期に格安SIMに関心を持った方も多いのではないでしょうか?

しかし2017年付近ではMVNO事業への参入企業が増えたこともあり「プラスワン・マーケティング」を代表とするMVNO事業の撤退や大手傘下のMVNOとなる動きが徐々に始まりました。

近年では、楽天モバイル(Rakuten UN-LIMIT)が大手のキャリアサービスに関わらず安価なプランの展開を開始する、各社もサブブランドのサービスに力を入れ始める、などの影響でMVNO事業の伸びにも課題がでてきました。

契約年別にみると、ユーザーの選ぶ通信会社の傾向は各年の通信業界の動きに連動している部分があります。2020年の契約者には他にどんな特徴があるのでしょうか?

契約年別にメインで利用しているスマートフォン端末の契約場所をみると2016年以前はオンライン契約が6.9%だったのに対して、2020年は28.4%と大きく上昇しています。

MMD研究所、2020年乗り換え調査からみる、コロナ禍が及ぼす通信業界への影響

コロナ禍であった2020年3月~10月の間では、オンラインでの契約が31.5%と3割を超える結果になりました。

MMD研究所、2020年乗り換え調査からみる、コロナ禍が及ぼす通信業界への影響

また、契約理由をみると2016年以前の契約者は「家族と一緒の通信事業者にしたかったから」や「信頼できるサービスだったから」や「店舗があるから」という理由が上位に来ておりました。2020年の傾向を見ると「家族と一緒の通信事業者にしたかったから」が-18.6ポイント、「信頼できるサービスだったから」が-6.2ポイント、「店舗があるから」が-5.0ポイントと通信会社を選ぶ決め手は変化してきています。

家族と一緒にキャリアショップやショッピングモールに行き、同じ通信会社のサービスを契約するという従来の流れから、オンラインで自分に合ったプランや安い通信サービスを調べて契約する、という事が通信契約の主流に移り変わっていくのかもしれませんね。

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MMD研究所、2020年乗り換え調査からみる、コロナ禍が及ぼす通信業界への影響

2020年では新型コロナウイルスの影響でモバイル通信の新規・乗り換えの落ち込み傾向はないもののショップでの契約率は落ち、通信業界でもオンライン上での契約が増えています。12月現在、新型コロナウイルスの感染者数は第1波を超えました。「なるべく店舗に行かず通信契約をオンラインで済ませたい」、「携帯電話・スマートフォンでわからない事は、Zoomなどのビデオ会議で聞きたい」という世論が形成されると、オンラインサイト上での契約のしやすさや遠隔でのサポートサービスの充実が今後の通信会社を選ぶ決め手になっていくかもしれませんね。

■ 2年以内の乗り換えは全体の16.0%が検討、次の乗り換え先候補は楽天モバイルとサブブランド

本調査でスマートフォンを所有する19,800人に、現在通信契約をしている会社から他社への乗り換え意向があるかどうかを聞いたところ16.0%が2年以内に乗り換えを検討していると回答しました。

MMD研究所、2020年乗り換え調査からみる、コロナ禍が及ぼす通信業界への影響

昨年の4月時点で乗り換え意向を聞いたところ、「2年以内を目途に乗り換え検討している」のは全体の11.0%、「時期は未定だが乗り換えを検討している」は5.9%ほどだったたため、昨年と比較すると2年以内での乗り換え意向、時期未定での乗り換え意向どちらも2020年調査が高く出るという結果になりました。

乗り換えを検討している6,202人に移行先で最も検討している通信事業者を聞いたところ、「特に事業者は決めていない」という回答が32.8%と最多ですが、次いで「楽天モバイル(Rakuten UN-LIMIT)」が18.2%、「Y!mobile」が11.0%、「UQ mobile」が8.4%とMNOの楽天モバイルとサブブランドが乗り換え先の有力候補として浮かんでいることが分かりました。

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■ まとめ―契約年別にみる2020年のユーザー動向について

本ブログでは、「2020年通信乗り換えに関する実態調査」の結果を契約年別に傾向を見てきました。2017年の契約者からだんだんと大手3キャリアユーザーの契約率が減り、MVNOやサブブランドを選択するユーザーがここ数年で増えてきたことが読み取れます。

また、MVNO契約者の内訳が増えた2017年頃から、オンラインでの通信契約率も増加しています。2020年3月~10月の期間では新型コロナウイルスの影響か3割を超えるユーザーがオンライン上で通信契約をしたと答えておりました。

他キャリアへの乗り換え意向自体は前年の調査と比較すると増加傾向にあります。オンライン契約が新型コロナウイルスの影響でより伸びていること。店舗が通信サービスを選ぶ際の決め手から薄まりつつあること。を考慮すると店舗があることで他サービスより優位性を保ってきた大手キャリアのシェア構造に変化が生まれてくるかもしれませんね。

コロナの影響で店舗への来店が難しくなった今日、早くからWeb契約を中心に取り組んできたMVNOにとっては大きなビジネスチャンスに繋げられる可能性があります。Web上での契約方法の簡単さや遠隔でのサポート対応の良さをユーザーにアピールしていくのも今後のポイントになるかもですね。

MMD研究所では新型コロナウイルスの影響はもちろんのこと3Gサービスの終了も念頭に置き、引き続き通信サービスの乗り換え調査の発表を定期的に行って参ります。今回ご紹介したデータは「2020年通信乗り換えに関する実態調査」の一部の結果になります。各キャリア別の詳しい調査結果が知りたい場合やリサーチのご相談などがございましたら、以下の宛先にご連絡頂けますと幸いです。

<本ブログでの使用調査>
2020年通信乗り換えに関する実態調査

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