ベクトル、NTTデータ/NTTデータ経営研究所との共同研究成果報告 『仮想脳モデルを活用したTwitter動画広告の効果向上』に成功
2021.02.01
2021.02.01
~既存広告に比べ再生率が23.6%、いいね・リツイート率が35.3%向上~
株式会社ベクトル(本社:東京都港区、代表取締役:長谷川創、東証一部:6058、以下ベクトル)の子会社であり、ビデオリリース制作/配信事業を展開する株式会社NewsTV(以下:NewsTV)は、株式会社NTTデータ(以下:NTTデータ)、株式会社NTTデータ経営研究所(以下:NTTデータ経営研究所)と共に、NTTデータの人間の脳活動を推定する技術 NeuroAI(注1)を利用し、Twitterに配信する動画広告の効果の最適化を目指した共同研究を行い、Twitter動画広告の効果向上に成功したことをご報告いたします。
背景と概要
昨今の動画広告市場はスマートフォンの普及と共に急激な成長を続けており、今後も毎年130%程の継続的な成長が期待されています(株式会社サイバーエージェント「2020年国内動画広告の市場調査」より)。その基盤となっているのがSNSであり、Twitterは全世界で1億8,700万にものぼるmDAU(収益化が可能なデイリーアクティブユーザー)を抱え、RT(リツイート)をはじめとした拡散力も持っているメディアです。
一方で、動画広告の一般化に伴い動画が氾濫する状況だからこそ、生活者に興味を持ってもらうための広告クリエイティブ作りが広告効果を最大化する上で重要なポイントになっています。
動画広告が一般化したことで迅速かつ多様な動画の制作が求められている中、NewsTVは「ビデオリリース」と呼ばれる、企業のニュース動画を短時間で制作し、SNSなどを通じて生活者に配信するサービスを展開しています。これまでに3,000本を越える制作実績があり、多くの企業に活用されています。
また、NTTデータグループでは、動画広告等のクリエイティブを定量化し、改善に活かす技術として「脳」に注目し、脳情報通信技術NeuroAIの研究・事業開発に取り組んでおり、さまざまな成果を上げています。
そこで、このNeuroAIを利用し、Twitter上に出稿される動画広告の効果を高めることが可能かを検証するため、2020年6月よりTwitter Japan株式会社の協力を得て、NewsTV、NTTデータ、NTTデータ経営研究所の3社で共同研究を行いました。
本共同研究では、動画広告と広告効果データをNeuroAIで脳情報化・学習した「仮想脳モデル」を構築しました。仮想脳モデルにより、広告動画の効果を最適化するためのクリエイティブ仮説のシミュレーションが可能になり、より効果的な動画広告制作ができるようになります。この仮想脳モデルでのシミュレーション内容を元に動画広告を制作し配信した結果、既存の標準的な動画広告に比べ以下の効果向上を確認しました。
①動画広告の再生率が23.6%向上
②動画広告のツイートに関するエンゲージメント(いいね・RT等)が35.3%向上
以上の結果から、動画広告とその効果を、脳情報を介して定量化することで、目的とする指標を最適化する本共同研究の広告制作プロセスの有効性が確認できました。
※研究内容詳細は、リリース下部【共同研究内容】も併せてご覧ください。
本共同研究で確認できた広告効果の効率化のための技術は、将来的な広告クリエイティブの評価・改善プロセスを変える可能性を持っています。今後は本共同研究結果を踏まえた効率良く広告効果の最大化を狙うことができるサービスの構築を目指し、次世代広告最適化技術としての実用性を高めてまいります。
NewsTVは、今後も「広告・マーケティング業界において、ビデオリリースを商習慣にする」ことをビジョンに掲げ、ビデオリリースを無償で、迅速に、クオリティ高く制作できる体制に加え、独自の配信プラットフォーム「NewsTV Network」を通じたデータドリブンな配信運用、更なる技術研究・開発を行い、企業のマーケティングを強力にサポートしてまいります。
【共同研究内容】
■目的
NeuroAIの利用によるTwitter動画広告の効果向上およびシミュレーション・制作プロセスの検証
■役割分担
・NTTデータ、NTTデータ経営研究所:
企画・設計、NeuroAIによる広告効果予測モデル構築・シミュレーションの実施・検証用動画広告
制作・出稿後の効果データ分析
・Twitter Japan:
過去素材の各種広告効果指標データ準備、検証用動画広告出稿、検証結果データ提供
・NewsTV:
シミュレーション結果に基づく新規動画広告制作
■対象データと指標
①動画広告素材:アプリゲームの動画広告264本(2020年1-6月配信分)
②広告効果データ:以下3つの指標をターゲットに設定
・再生率(3秒再生数/動画広告再生開始数):視聴者が動画広告をスキップせずに再生する割合
・エンゲージメント率(エンゲージメント数/インプレッション数):視聴者が「いいね・リプライ・RT」等を行う割合
・インストール率(アプリインストール数/動画再生数):動画を見たユーザーがアプリをインストールした割合
■検証プロセス
①仮想脳モデルの構築:動画広告視聴時の脳活動情報をNeuroAIで予測し、この脳情報と広告効果データの関係を学習した仮想脳モデル(※)を構築。
※「動画Aを見た際の脳活動情報から、再生を続ける確率は何%程度」といった視聴者の脳の中で行われる一連の情報処理プロセスをシミュレーションするものです。
②シミュレーション:仮想脳モデルを利用して膨大なクリエイティブ候補から高い効果(ターゲット指標)が期待できるクリエイティブフラグメント(1秒単位)を抽出。
③制作:抽出した「効果的なクリエイティブの仮説」を元に15秒程度の動画(音声無し)として人手で制作・編集を実施。
④出稿:仮説を元に制作した広告動画を平均的な効果を持つ既存素材と合わせ同条件でテスト配信
⑤効果確認:テスト配信結果を統計分析し確認。
【研究成果】
Twitter上の広告動画で、再生率向上からインストール率向上まで幅広く実現できることを確認しました。
①再生率:高いと予測された2つの動画広告案において、それぞれ既存の動画広告と比較し23.6%、15.0%、有意に向上。
②エンゲージメント率:高いと予測されたうちの1つの動画広告案が35.3%有意に向上。
③インストール率:高いと予測されたうちの1つの動画広告案で向上。
注1: 「NeuroAI」:NTTデータグループが開発したコンテンツ視聴時の視聴者の脳活動予測し、その脳活動からコンテンツ視聴により誘起される行動・広告視聴データ等を推定する技術。(https://nttdata-neuroai.com/)
※「NeuroAI」は株式会社NTTデータの登録商標です。その他の商品名、会社名、団体名は、各社の商標または登録商標です。
関連リンク
●株式会社ベクトル
●株式会社NewsTV
●NTTデータ/NTTデータ経営研究所との共同研究成果報告 『仮想脳モデルを活用したTwitter動画広告の効果向上』に成功