2019年1月22日、株式会社ジャストシステムが運営する、マーケティングリサーチに関する情報メディア「Marketing Research Camp(マーケティング・リサーチ・キャンプ)」において「Eコマース&アプリコマース月次定点調査 2018年総集編」が発表されました。
今回発表された調査結果は、2018年1月から12月までの調査データを分析し、総集編としてまとめたものです。ECでの購入率や利用デバイスなどの基礎データから、その時々のトレンドの実態まで、さまざまな項目に渡り調査結果が公表されています。
調査結果について
2018年の年間トピックス
2018年、Eコマース&アプリコマース関連分野における主なトピックスは下記のとおりです。
- ECのスマホシフトが進行。約4割がスマートフォン経由でショッピング
- スマートフォンからのEC利用は、約6割が「アプリ」
- 2018年、最も利用が伸びたECアプリは「ZOZOTOWN」
- 商品の受け取りは、3割が「コンビニエンスストア」
- ECのプレミアム会員加入が浸透。加入率1位は「Amazonプライム」
- 2018年に利用率を伸ばしたCtoCは「メルカリ」と「ラクマ」
- 消費者への告知方法として「メルマガ」が断トツも、影響力が弱まる
- 消費者に商品購入を促す影響力が強いSNSは「LINE」
- 10代が利用しているECサイトは、圧倒的に「Amazon」
トピックス詳細
ECのスマホシフトが進行。約4割がスマートフォン経由でショッピング
EC利用時、最も頻繁に利用するデバイスを聞いたところ、本調査を開始した2017年4月度調査では「パソコン」が58.0%、「スマートフォン」が33.7%だったのに対し、2018年12月度調査では「パソコン」が50.7%、「スマートフォン」が42.8%でした。この間、「スマートフォン」を利用する人の割合は9.1ポイント増えたのに対し、「パソコン」は7.3ポイント減少しました。EC利用のメインデバイスとして「スマートフォンシフト」が進行したと言えます。
スマートフォンからのEC利用は、約6割が「アプリ」
スマートフォンからECを利用する際、「インターネット」と「アプリ」のどちらから頻繁に購入するかを選んでもらったところ、2017年4月度調査では「インターネット」を挙げた人は43.3%、「アプリ」は56.7%でした。一方、2018年12月度では「インターネット」は36.6%、「アプリ」は63.4%でした。2017年4月度調査では「インターネット」と「アプリ」を利用する人の割合の差は13.4ポイントでしたが、2018年度12月度調査では26.8ポイントまで開きました。スマートフォンにおいて「アプリ」からのEC利用が一層浸透しました。
商品の受け取りは、3割が「コンビニエンスストア」
ECで購入した商品の受取方法を聞いたところ、2018年を通して「宅配便で自宅での受け取り」を挙げる人が最も多く、やはり現在でも圧倒的に多い受取方法であることがわかりました(2018年1月度調査:73.8%、2018年12月度調査:74.2%)。それ以外の受取方法を見てみると、次に「コンビニエンスストア」(30.8%)、「自宅の宅配ロッカー」(18.0%)、「宅配会社の営業所」(13.4%)、「郵便局 (局留め)」(9.3%)、「自宅外の宅配ロッカー」(6.2%)、「そのほかの店頭受け取り」(5.5%)、「郵便局(宅配ロッカー)」(5.3%)でした※1。※ 複数回答あり。 ※1 2018年12月度調査。
ECのプレミアム会員加入が浸透。加入率1位は「Amazonプライム」
主要ECサイトを利用したことのある人のうち、主要ECサイトが提供しているプレミアム会員※1の「いずれかに加入している」人の割合は、54.4%(2017年4月度調査)から63.2%(2018年12月度調査)と増加傾向にあることがわかりました。2018年12月度調査での会員加入状況を見てみると、「Amazonプライム会員」が最も高く(41.2%)、次いで「Yahoo!プレミアム会員」(26.6%)、「楽天プレミアム会員」(17.2%)でした※2。
※1 「Amazon プライム会員」「Yahoo!プレミアム会員」「楽天プレミアム会員」「ZOZOプレミアム・ZOZOプラチナム会員」「ヨドバシ・プレミアム会員」。 ※2 複数回答あり。
2018年に利用率を伸ばしたCtoCは「メルカリ」と「ラクマ」
CtoCサービスを利用したことがある人のうち、「メルカリ」を利用した経験がある人の割合は、31.0%(2017年4月度調査)から45.3%(2018年12月度調査)へと増加し、この期間中、最も利用率を伸ばしたサービスでした。また、「ラクマ」の利用率も12.7%(2017年4月度調査)から19.2%(2018年12月度)に伸長しました
2018年、最も利用が伸びたECアプリは「ZOZOTOWN」
主要なECアプリのなかで、特に利用している人の割合が増えたのは「ZOZOTOWN」で、14.4%(2017年4月度調査)から22.6%
(2018年12月度調査)と、約1.6倍に増加しました。10代に限って見ても、「ZOZOTOWN」の利用率は増加傾向にあり、18.5%
(2017年4月度調査)から37.5%(2018年12月度調査)と増加しました。
10代が利用しているECサイトは、圧倒的に「Amazon」
2017年4月度から2018年12月度の調査期間を通して、主要ECサイトの利用状況を年代別に見てみると、10代では「Amazon」と答える人が圧倒的に多く(2018年12月度調査:70.4%)、次いで「楽天市場」(2018年12月度調査:29.6%)、「ZOZOTOWN」(2018年12月度調査:27.8%)でした。20代、30代、40代、50代では利用しているECサイトとして「Amazon」、「楽天市場」、「Yahoo!ショッピング」の順番に利用率が多かったのに対し、60代は「Amazon」と「楽天市場」の利用率が拮抗し、2018年12月度調査では「楽天市場」(83.2%)、「Amazon」(79.6%)の順番になりました。
消費者への告知方法として「メルマガ」が断トツも、影響力が弱まる
ECサイトの利用経験がある人に、ECサイトからの新商品情報やキャンペーン情報を受け取る方法の中で最も商品購入につながっていると思う方法を選んでもらったところ、2017年4月度から2018年度12月度までの調査結果を通して一番多くの人から挙がったのは「メールマガジン」でした。
しかし、2017年4月度から2018年度12月度の期間を通して「メールマガジン」を挙げる人の割合は減少傾向にありました(2017年4月度調査:53.6%。2018年度12月度調査:45.9%)。一方で、「SNS」を挙げる人(2017年4月度調査:8.8%。2018年12月度調査:10.9%)と、「アプリのプッシュ通知」を挙げる人は増加傾向にありました(2017年4月度調査:9.8%。2018年12月度調査:11.3%)。
消費者に商品購入を促す影響力が強いSNSは「LINE」
ECサイトからの通知を受け取っているSNSの中で、最も商品購入につながっているSNSを挙げてもらったところ、2017年4月度から2018年12月度の期間を通して、「LINE」と答える人が最も多いという結果でした(2018年12月度調査:46.7%)。また、この期間中、着実な増加傾向を見せたのは「Instagram」で5.7%(2017年4月度調査)から11.5%(2018年12月度)に増加しました。
筆者の感想
本調査では、「ZOZOTOWN」が利用者が最も増加したECアプリとして紹介されている。その要因については、様々考える事が出来るが、私はユーザーに対して十分にメリットを提供できているためだと感じる。
その一つは、ZOZOTOWNでは、人気ブランド商品を多く取りそろえている点だ。「United Arrows」や「Beams」といった大手セレクトショップはもちろん、新興ブランドである「Studious」など若者ウケしやすいトレンドブランドの取り扱いに注力している。単一のメディアで、ブランド間を超えて豊富な商品数を閲覧することができる情報量の多さが、ユーザーを惹きつけているとも考えられる。
もう一つは、「ツケ払い」という支払制度を導入したことも大きな要因といえる。商品購入から2ヶ月後の代金支払いとしたことで、商品購入の意思決定が容易となった。
このように利用しやすい環境を整えることで、着実に利用者数を増やしたと私は考える。同サービスの今後の動きに注目したい。
なお、調査内容の詳細については関連リンクよりご確認ください。