目次
購買にあたって商品を認知する際の情報源ではECサイトがテレビ番組・テレビCMを抑えてトップ、若年層では購買行動におけるSNSの存在感も増大
データマーケティング支援のGlossom株式会社(本社:東京都新宿区、代表取締役社長:足立 和久、グリー株式会社100%子会社、以下「Glossom」、読み:グロッサム)は消費者の購買行動におけるSNSやインフルエンサーの影響度合いやその内容を時系列に分析する「ソーシャルコマースに関する定点調査2021」を全国の10代から70代の男女10,000名に実施いたしました。
調査背景
スマートフォンの普及によりインターネットの利用率、利用時間は年々増加を続けています。また、ここ2年のコロナ禍を経てインターネットを通じたショッピングはより浸透し、身近なものとなりました。中国ではソーシャルコマースの市場規模が年々急拡大、米国でも市場の拡大が見込まれており、(※1)年々SNSの利用時間、利用率ともに増加を続ける日本にもこの影響は及ぶと考えられています。(※2)本調査はECサイトの利用率や利用時間、また消費者が購買行動をとる際の参考情報源、SNSやインフルエンサーから発信される情報を元にして購買行動を起こした商材などを性別年代情報と掛け合わせることで、購買行動に与えるSNSやインフルエンサーの影響の変化をとらえることを目的として本年より調査を開始しています。
総括
今回の調査では購買行動において、商品の認知から購入に至るまでの消費者の行動にECサイト(※3)やSNSが大きく影響を及ぼしているという実態が明らかになりました。ECサイトの利用率はほぼ全ての性年代で8割を超えており、購買にあたって商品を認知する際の情報源としてECサイトがテレビ番組・テレビCMを抑えて最も多い回答数となりました。購買行動において、インターネット上でのショッピングは当然のものとして受け入れられており、商品の認知、参考、購買の後押しに至る各購買プロセスをスムーズに行えるECサイトの存在感が増していることが考えられます。
また、女性では化粧品・衣服・美容・日用品・食料品などの非耐久消費財が、男性若年ではゲーム・アプリなど該当性別、年代に対して日常ニーズがある分野でSNSを起点とする購買行動が一般的になっており、SNSやインフルエンサーからの情報を介して商品の興味喚起や理解を行い、その後インターネット検索を通じて理解を深める行動が見られる点が特徴的でした。
主な調査トピックス
ECサイトの性年代別利用率、月平均利用頻度と利用金額
●ECサイトの利用率はほぼ全ての性年代で8割越え
ECサイトの利用率は15-19歳で77.0%と8割近くに、それ以外のすべての性年代で8割を超える高水準に。
特に50代男性で91.6%、60代男性で91.1%となっており高年齢層における利用率も高く、性年代を問わずECサイトの利用が浸透している。
●ECサイトの利用頻度は若年層が、利用金額は高年齢の方が高い
また、ECサイトの利用頻度に関しては15-19歳、20代男性で月3回以上と若年層が利用回数をけん引、利用金額に関しては1回あたりの平均利用金額について40代50代60代の高年齢層がけん引しており、月での平均利用金額も高い。年代ごとの利用可能な金額が影響していると考えられる。
商品・サービスを購入する(予約、ダウンロード、資料請求含む)際の認知、参考、後押しに関する情報源
●商品・サービスを購入する際に「知るきっかけとなる情報源」としてテレビ番組・テレビCMを抑えてECサイトがトップに
商品・サービスを購入する際の「知るきっかけとなる情報源」として最も割合が多かったのはテレビ番組・テレビCMの39.3%を抑えてECサイトで46.8%。
ECサイトの利用率が上昇し、ECサイト内で情報を収集し、購入まで至るという流れが一般的に。
●検索エンジンでの商品・サービスの検索から商品を認知するという行動が一般的に
商品・サービスを購入する際の情報源としてテレビ番組・テレビCMと並ぶ割合となったのが検索エンジンで38.8%と、欲しい商品があった際に検索エンジンを利用して情報を得る行動が一般的になっていると考えられる。
●若年層が認知経路としてのSNSの利用率をけん引、高年齢男性ではECサイトを参考にする割合が高い
15-19歳男性、15-19歳、20代女性では商品・サービスの認知に際しての情報源としてSNSが最も高い。
40代、50代、60代、70代の高年齢男性ではECサイトを、50代、60代女性はテレビ番組・テレビCMを情報源とする割合が最も高く、性年代によって認知経路の傾向が異なる。
●各購買プロセスにおける割合の比較ではテレビ番組・テレビCMよりECサイト、SNSの方が各プロセスの乖離が小さい
商品・サービスを購入する際に「知るきっかけとなる情報源」(認知)「買う際に参考にする情報源」(検討)の割合の比較では、ECサイトでは認知を1とした場合では0.85、テレビ番組・テレビCMは0.57と大きな乖離があり、ECサイトの方がより認知から後押しまでの各購買プロセス間の乖離が小さい。また、SNSについては認知、参考、後押しの各購買プロセスの乖離が他情報源と比較して最も小さい。
●若年層に関しては購買の際の認知、参考、後押しがSNSを通じて行われることが一般的になっている
認知、参考、後押しのどのプロセスにおいても15-19歳男女、20代男女、30代男女の若年層に関してはSNSを通じての情報取得が他年代と比較して高い。
SNSが認知のきっかけとなる商品、サービス
●女性では化粧品、衣服、美容、日用品、食料品などの非耐久消費財が、若年男性ではゲーム、アプリにおいてSNSを購買の起点とする行動が一般的に
性年代に対して日常ニーズがある分野でSNSを起点とする購買行動が一般的になっており、特に若年層女性ではSNSからの情報取得が積極的に行われている。
購買行動における、インフルエンサーの役割
●インフルエンサーが発信している内容に影響を受けるSNSでは女性においてInstagramの割合が最も高く、特に若年女性の割合がけん引
商品・サービスの購買の際にインフルエンサーの情報発信から影響を受けるSNSの割合について、女性ではすべての年代でInstagramが最も高く、特に若年層でその傾向が顕著である。
Instagramの利用時間が伸びている背景にはインフルエンサーが発信する情報の取得が積極的に行われていることが背景にあることが明らかになった。
●影響を受けるインフルエンサーの発信内容で最も多いのは全年代で商品のレビュー
商品・サービスを購入する際に影響を受けるインフルエンサーの発信内容については全年代において商品のレビューが最も高い。
●若年層はPR投稿に対しても他年代と比較して好意的に受け入れている傾向
インフルエンサーが発信する内容のうち通常投稿とPR投稿から影響を受ける度合いに関してはすべての年代でPR投稿と通常投稿の両方から影響を受けている、が最も高くなっており、発信内容以上にインフルエンサー自身への共感、信頼が有効に働いていると考えられる。
若年層では男女ともにPR投稿と通常投稿の両方から影響を受けている率が高いが、女性は年齢が上がるにつれ通常投稿のみから影響を受けている割合が上昇している。
●インフルエンサーが発信する情報を見た後の行動として最も割合が高いのはインターネットでの検索
SNSにおいてインフルエンサーの発信情報を見た後の行動としては、インターネットで検索する割合が最も高く、次いでSNS内でさらに検索する、が高くなった。
商材別では自動車・バイク、住居などの耐久消費財では企業・ブランドのホームページを見る割合も高く、金額が高く検討期間が長い商品ほど参照する情報源の数が多い傾向にある。
使用感や使用方法が重視される傾向にある化粧品ではSNSでさらに比較する割合が他商材と比較して高くなった。
調査結果詳細(抜粋)
ECサイトの性年代別利用率
ECサイトの利用率は15-19歳で77.0%と8割近くに、それ以外のすべての性年代で8割を超えた。特に50代男性で91.6%、60代男性で91.1%となっており高年齢層における利用率も高く、性年代を問わずECサイトの利用が浸透し、存在感が増している。
商品・サービスを購入する(予約、ダウンロード、資料請求含む)際の認知、参考、後押しに関する情報源
商品・サービスを購入する際の「知るきっかけとなる情報源」として最も割合が多かったのはテレビ番組・テレビCMの39.3%を抑えてECサイトで46.8%。ECサイトの利用が身近になり、小売りとして実店舗と同等、もしくはそれ以上の影響力を持つようになり、企業が容易にECサイトを構築できるサービスやCRMツールが充実することで、ユーザーを囲い込むコマースプラットフォームとして存在感を増している。(※4)テレビ番組・テレビCMと並ぶ割合となったのが検索エンジン(※5)で38.8%と、欲しい商材があった際に検索エンジンを利用して認知をする行動が一般的になっていると考えられる。また、SNSについても店舗に次いで影響力を増している。
15-19歳男性、15-19歳、20代女性では商品・サービスの認知に際しての情報源としてSNSが最も高い。40代、50代、60代、70代の高年齢男性ではECサイト、50代、60代女性はテレビ番組・テレビCMを情報源とする割合が最も高く、性年代によって認知経路の傾向が異なる。
商品・サービスを購入する際に「知るきっかけとなる情報源」(認知)「買う際に参考にする情報源」(検討)の割合の比較は、ECサイトでは認知を1とした際の検討では0.85、テレビ番組・テレビCMは0.57と大きな乖離があり、ECサイトの方がより認知から後押しまでの各購買プロセス間の乖離が小さい。また、SNSについては認知、参考、後押しの各購買プロセスの乖離が他情報源と比較して最も小さい。認知、参考、後押しのどのプロセスにおいても15-19歳男女、20代男女、30代男女に関してはSNSを通じての情報取得が他年代と比較して高いことから若年層に関しては購買の際の認知、参考、後押しがSNSを通じて行われることが一般的になっていると考えられる。
SNS、インフルエンサーを参考にしたことがある商品、サービス
各商材を知るきっかけがSNSである割合についてみると女性では日用品、食料品、化粧品などの非耐久消費財の割合が、15-19歳、20代の若年男性ではゲーム・アプリについての割合が高くなっており性年代に対して日常ニーズがある分野でSNSを起点とする購買行動が一般的になっている。
商品・サービスの購入の際知るきっかけとなる情報源の内訳を見ると、若年層ではSNSでの発信内容を情報源とする割合が高く、特に15-19歳、20代、30代の若年層女性ではインフルエンサーからの情報発信を情報源としている割合が高い。
購買行動における、インフルエンサーの役割
インフルエンサーが発信している内容に影響をうけるSNSについての内訳をみてみると、女性ではすべての年代でInstagramが最も高く、特に若年層でその傾向が顕著に見られる。Instagramの利用時間が伸びている背景にはインフルエンサーが発信する情報の取得が積極的に行われていることが背景にあることが明らかになった。(※6)男性は女性よりもYouTubeからの情報取得の割合が全年代で高く、女性の15-19歳ではTikTokからの情報取得の割合も高くなった。
商品・サービスを購入する際に影響を受けるインフルエンサーの発信内容については全年代において商品のレビューが最も高く、女性では次いでライフスタイルや食事に関する投稿から影響を受ける割合が高い。また、インフルエンサーが発信する内容のうち通常投稿とPR投稿から影響を受ける度合いに関してはすべての年代でPR投稿と通常投稿の両方から影響を受ける、が最も高くなっており、発信内容以上にインフルエンサー自身への共感が有効に働いていると考えられる。若年層では男女ともにPR投稿と通常投稿の両方から影響を受けている率が高いが、女性は年齢が上がるにつれ通常投稿のみから影響を受ける割合が上昇している。
インフルエンサーに影響を受ける理由としてはお得な情報を知ることができるから、という理由より、商品の使用感や使用例、口コミなどの情報を得ることができるから、という理由の割合が高く、インフルエンサーという第三者を通して商品やサービスの理解を深める行動が見られる。また、15-19歳、20代ではそのインフルエンサーが好き、信頼しているからといった理由の割合も高く、投稿内容にかかわらずインフルエンサーへの信頼度、共感度の高さから情報を得ていると考えられる。
SNSにおいてインフルエンサーの発信内容から影響を受けた後の行動としては、インターネットで検索する割合が最も高く、次いでSNS内でさらに検索するが高くなった。商材別では自動車・バイク、住居などの耐久消費財では企業・ブランドのホームページを見る割合も高く、金額が高く検討期間が長い商品ほど参照する情報源の数が多い傾向にある。使用感や使用方法が重視される傾向にある化粧品ではSNSでさらに比較する割合が他商材と比較して高くなった。
調査概要
調査対象 | 日本全国に在住のスマートフォンを所有する10代~70代の男女 |
回答者数 | 2021年調査:10,000名 |
調査方法 | インターネットによるアンケート調査 |
調査時期 | 2021年調査:2021年11月9日(火)~11月11日(木) |
標本構成 | 男性:4,948名、女性:5,052名 |
※1 出典:eMarketer 2020,2021
※2 出典:スマートフォンでの情報収集に関する定点調査2021
※3 ECサイトの分類について
Amazon、楽天市場、メルカリ、ヨドバシ.com、その他のECサイト
※4 IDC Japan株式会社「国内顧客エクスペリエンス(CX)関連ソフトウェア/CRMアプリケーション市場予測」
※5 検索エンジンの分類について
Google、Yahoo!、その他の検索エンジン
※6 出典:スマートフォンでの情報収集に関する定点調査2021
チーフデータアナリスト プロフィール
陳野 友美(じんの ともみ)
楽天グループの顧客データベースである「楽天スーパーデータベース」の生みの親。
2003年、楽天株式会社に顧客マーケティング部署の立ち上げメンバーとして入社後、 楽天市場事業のデータ分析部部長に就任。
楽天PointClub等のCRMプログラムやグループ統合DB(楽天スーパーDB)の構築など、データを活用した顧客マーケティングの基盤づくりとマーケティング活動を推進。当社にてQUANT DMPによる記事読了解析技術の開発と複数の特許を取得。
※1ウェブコンテンツの読了率などからコンテンツをスコアリング(特許:第6347532号、名称:評価装置、評価方法及び評価プログラム)、コンテンツの読まれ方を解析し、自社ユーザーのファン度を顕在化(特許:第6042018号、名称:情報生成装置、方法およびプログラム)、ライターの能力を可視化(特許:第5988345号、名称:評価装置、評価方法、評価プログラム、レコメンド装置、レコメンド方法及び、レコメンドプログラム)
関連リンク
●Glossom株式会社
●【ソーシャルコマースに関する定点調査】購買にあたって商品を認知する際の情報源ではECサイトがテレビ番組・テレビCMを抑えてトップ、若年層では購買行動におけるSNSの存在感も増大