電通グループ、世界の広告費成長率予測(2020~2022)を発表
2021.01.28
2021.01.28
●2020年の広告市場はコロナ禍による減も、2021年は大きな成長へ
●デジタル広告は2021年の世界市場成長を牽引し、媒体別シェアで50%へ
株式会社電通グループ(本社:東京都港区、代表取締役社長執行役員:山本 敏博)は、世界59カ国・地域から収集したデータに基づき取りまとめた「世界の広告費成長率予測」※を発表しました。
本予測では毎年2回改定(2020年はコロナ禍の影響で1回のみ)と新規予測を行っており、今回の発表は2020年と2021年予測の改定(前回予測は2020年1月発表)と2022年の新規予測となります。
主な結果は次のとおりです。
目次
◆ 世界の広告市場は2020年に8.8%減少となる見通しだが2021年には5.8%の成長を予測
世界の広告市場は、コロナ禍の影響で2020年は8.8%の減少となる見通しだが、2021年には5.8%の成長が見込まれ、世界の総広告費は約5,790億ドルになると予測。2022年には広告市場全体がコロナ禍前の水準に戻る見通しで、6.9%の成長により、総広告費は約6,190億ドルになると予測。
◆ 2021年は世界各地で広告市場がプラス成長へ(図表1参照)
2021年の広告市場成長を地域別にみると、西ヨーロッパが7.5%増、アジア太平洋地域が5.9%増、北米が4.0%増と、2020年の反動で、世界各地がプラス成長に転じると予想。成長率が高い主な国は、インド(10.8%増)、英国(10.4%増)、フランス(8.9%増)など。世界最大の広告市場である米国は3.8%増、2位の中国は5.3%増、3位の日本は5.3%増を予測しており、世界の広告市場全体に占めるこれら3つの市場のシェアは、それぞれ37.9%、17.6%、9.9%になると予想。
◆ 2021年にデジタル広告は、世界の総広告費の媒体別シェアで初めて50%へ(図表2参照)
2020年はコロナ禍においてもデジタル広告は媒体別で唯一プラス成長だったが、2021年もデジタル広告の2桁の成長を見込む。これを原動力として、広告市場全体が回復軌道へ転換する見込み。また、世界の総広告費に占めるデジタル広告費の媒体別シェアは初めて50.0%に達する見通し。デジタル広告の内訳として、ソーシャルメディア広告(18.3%増)、検索連動型広告(11.0%増)、動画広告(10.8%増)が大きく成長する見通し。
◆ 大型スポーツイベントの開催がテレビ広告の成長を後押し(図表2参照)
2020年に予定されていた世界的な主要スポーツイベントが、2021に実施されることで、特にテレビ広告の成長が期待される。東京オリンピック・パラリンピック競技大会やUEFA欧州選手権などの大型スポーツイベントの効果により、2021年のテレビ広告費は世界全体で1.7%増の1,690億ドルとなり、世界の総広告費の約3割の水準を維持すると予測。
◆ コロナ禍の影響を強く受けた業種が大幅な反動増へ
2020年度にコロナ禍によるマイナスの影響を強く受けた業種では、2021年には広告費が大きく伸長すると予測。例えば、観光&運輸(28.4%増)、メディア&エンタテインメント(14.5%増)、自動車(13.8%増)などが挙げられる。また、テクノロジー(6.0%増)、金融(5.6%増)、通信(4.8%増)などコロナ禍においても力強さを発揮した業種では、一貫した成長が見込まれる。
<図表1:国・地域別の成長率予測>
<図表2:媒体別成長率予測(全世界)>
<図表3:媒体別のシェア予測(全世界)>
※世界の広告費成長率予測について
世界ネットワークを通じて収集した情報に基づき、59カ国・地域の広告費の成長率を独自に分析・推計して年に2回発表しています。対象媒体には、テレビ、新聞、雑誌、ラジオ、映画館(シネアド)、屋外/交通、デジタルが含まれます。日本の広告市場のみ、上記以外の媒体の広告費(折込、DM、フリーペーパー/フリーマガジン、POP等)が含まれるため、媒体別のシェア予測においては、その項目を除外した数値を「世界の総広告費」とした上で、各媒体のシェアを割り出しています。なお、今回(2021年1月発表)の日本市場の予測は、2020年9月時点の短期経済予測等の各種情報を基に算出しています。