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検索エンジン、Webサイト、SNSやモバイルアプリに至るまで、日常的に見ているインターネット広告。
当たり前のように目にしているインターネット広告ですが、その広告がどのような仕組みを経てあなたのもとに届いているか気になりませんか?また、「ネットで広告を出したい!」「効率的に広告を配信したい」と思っているものの、仕組みや用語やよくわからずに手付かずのまま…となってしまっている方もいるでしょう。
この記事では、インターネット広告が配信されるまでの仕組みと用語をわかりやすく解説していきます。
目次
インターネット広告が配信されるまでにはいくつかの仕組みがあり、この仕組みによって広告配信を効率的に行うことが出来るようになっています。
これらネット広告を効率化したあらゆるシステム全体をアドテクノロジー(アドテク)と言います。アドテクノロジーは広告=アド+テクノロジーを合わせた造語です。
アドテクが登場した背景には、それまでのネット広告掲載に関わる業務が煩雑で、非効率であったという点があります。
アドテクが登場する以前のネット広告は「純広告」が主流でした。
純広告はバナー広告・テキスト広告といった特定の広告枠を一定期間で購入して広告を配信するものです。
純広告の掲載には、まず広告主が多くのWebサイトの中から掲載したいメディアを探すことから始めなければなりません。掲載したいメディアを決めたのちに「このメディアのこの枠に5月15日~5月30日の間 広告を掲載する」と広告主側が掲載するWebメディアと期間を指定し、広告枠を締切日までに購入、そして掲載日までに広告を用意する必要があります。
この広告枠購入の締め切りはおおむね前月であることが多く、広告を出したい時にすぐ配信することが出来ないことで「広告を出すのにベストなタイミングを逃してしまう」「広告費に対して十分な効果を得られない」といったことが起き、Web広告を最大限に活かすこと難しかったのです。
これらの問題を解決したのがアドテクノロジーです。アドテクノロジーの登場により、広告主とメディア双方が手軽に広告と広告枠のやり取りを行うことが出来るようになりました。
アドネットワーク(ADN)は、Webサイトやアプリ・SNSなど、広告配信可能なメディアを多数束ねて配信する仕組みです。
ADNが登場する以前の広告掲載は、広告主とメディア側の双方にとって手間が多く、管理が大変でした。
広告主は膨大なメディアの中から広告掲載を依頼するメディアを探してから個別に依頼をする必要があります。
メディアごとに膨大な広告枠を確保することはとても大変です。また、各メディアごとに広告掲載に関するデータを貰うことはできますが、提供されるデータは各メディア独自のものであり、計測方法もバラバラです。これでは広告効果の分析が難しく、管理も煩雑になってしまいます。
メディア側にも、各WEBページに広告を張り付けなければならず、営業活動や広告の結果報告を各企業に個別で行う必要があるという手間がかかります。
広告主とメディア双方にとって、広告掲載に関わるあらゆる業務が非効率であったことが大きな課題だったのです。
この課題を解決したのがアドネットワークです。多数のメディアを束ねて配信する仕組みが出来たことにより、これまでのような煩雑な作業をする必要がなくなり、より効率的に広告配信や運用を行え、費用対効果も高くなっていきました。
アドネットワークは、「人」に配信するDSP(後述)と違い「枠」に広告を配信します。そのため、認知度の拡大やブランディングといった「特定のターゲット層ではなくより多くの人に配信したい」場合にアドネットワークは非常に適しています。
Ad Exchange(アドエクスチェンジ)は「各メディアやアドネットワークが持つ広告掲載枠を束ねて交換できる仕組み」のことです。
アドネットワークと混同しやすいアドエクスチェンジですが、このような違いがあります。
アドネットワークがネットワーク全体やメディア単位への配信入札であるのに対し、アドエクスチェンジはインプレッション単位で入札が出来ます。これにより、不要な広告入札を減らし、より費用対効果の高い広告配信が出来るようになりました。
アドエクスチェンジの登場で、課金形態にも変化が起きます。それまでのアドネットワークの課金形態が「CPC(クリック単価)課金」「インプレッション課金」など事業者ごとに異なっていましたが、その後、アドエクスチェンジの導入を契機に「入札型インプレッション課金」へ統一されていくことになります。
DSP(Demand-Side Platform)は、複数のアドネットワークを横断して広告を配信できる広告主側のプラットフォームであり、広告の費用対効果を高めたい広告主のためのツールです。
広告配信の手法が多様になっていくにつれ、多くのディスプレイ広告を束ねるアドネットワークも増えていきました。すると、さらにアドネットワークを管理するツールが必要になります。このアドネットワークを管理するツールとして登場したのがDSPです。
アドネットワークとDSPの大きな違いは、「枠」へ配信する広告から「人」へ配信することが可能になった点です。
アドネットワークは複数メディアに一括で広告配信が出来るという便利さはありましたが、あくまで広告「枠」への配信であるため、必ずしも配信したいターゲット層に届くわけではないというデメリットがありました。
一方DSPは、サイトを訪問者のユーザー属性を取得し、広告主側のターゲット属性にマッチするユーザー=「人」にフォーカスして広告配信をします。広告配信の精度が高まることにより、広告配信の費用対効果の高を高めることが出来るようになったのです。
DSPが広告主のためのツールであるのに対し、SSP(Supply-Side Platform)は媒体の広告枠販売や広告収益最大化を目的としたツールです。
SSPにより、複数のDSP、アドエクスチェンジ、アドネットワークから、最も高い掲載費を支払うことができる広告を自動で選んで、効率的に広告枠を売ることができるようになりました。
<DSPとSSPの関係>
RTB(Real-Time Bidding)は1インプレッション毎にリアルタイムで入札を行う仕組みです。
RTBはリアルタイム入札とも言われ、DSPとSSPはこの仕組みを利用しています。
広告主側は「なるべく安価で効率よく広告配信をする」ためにDSPを利用し、媒体側は「なるべく高く、かつ広告枠を余らせないようにしたい」と考えてSSPを利用します。RTBはこの二者間を繋ぎリアルタイムで入札を行える仕組みです。
DMP(Data Management Platform)は、Webから得られた顧客データをまとめ、分析することによって顧客を管理する仕組みそのもの、またはそのためのプラットフォームです。
DPMは大きく「プライベートDMP」と「パブリックDMP」に分けられます。
プライベートDMPは、自社サイトへのアクセス履歴や行動・購買履歴やアンケートデータ、顧客情報など自社で独自で保有している顧客に関するデータを蓄積・管理ができるプラットフォーム(仕組み)です。
パブリックDMPは、自社以外のデータ販売企業などが提供している顧客のデータ(オーディエンスデータ)を蓄積・分析して活用するためのプラットフォーム(仕組み)です。顧客の自社サイト外での行動を把握できるため、自社だけでは把握しきれない消費者行動や属性を取得し、効果的な広告配信につなげることができます。
Web上のあらゆる広告が私たちに届くまでは一瞬ですが、その一瞬で色々な仕組みが働いていることが理解できたのではないでしょうか。
広告主側もメディア側も、インターネット広告の様々な仕組みやプラットフォームを理解できればより効率的にビジネスを進めることが可能です。
今後も拡大していくインターネット広告を最大限に活用していきましょう!