Adjust 日本ゼネラルマネージャー 佐々直紀氏に聞く、アプリのクロス・プロモーションと定期的なアップデートが ゲームの成長戦略に有効な理由
2021.07.09
2022.04.29
adjust株式会社
Adjustは、モバイルマーケティング分析プラットフォームです。アプリの持続的な成長を目指す世界中のマーケターから信頼されており、広告キャンペーンの効果測定と最適化、ユーザーデータを保護するソリューションを提供しています。
Web広告・マーケティングのいまをお届けするsyncAD(シンクアド)インタビュー第14弾は、Adjustの日本ゼネラルマネージャーとして、日本オフィスを統括する佐々直紀氏に「アプリのクロス・プロモーションと定期的なアップデートが ゲームの成長戦略に有効な理由」についてお話を伺いました。
目次
アプリのクロス・プロモーションと定期的なアップデートが ゲームの成長戦略に有効な理由
2020年、世界は大きく変わりました。モバイルアプリ業界では、消費者行動の変化が私たちのデータに反映され、業界全体が急速に変化しています。人々はモバイルデバイスを使って、離れている家族とのちょっとしたFacetimeから、食料品の購入まで、あらゆることに利用するようになりました。実際、モバイル市場は 2020年の予想を上回り、アプリのユーザー支出額は 1430億ドルにのぼります。
Adjustのデータを基にアプリの成長をカテゴリー別に明らかにした「モバイルアプリグロースレポート 2021」では、世界最速で成長しているカテゴリーはゲームであることがわかりました。
モバイルゲーム市場の力強い成長は、業界に多額の投資をもたらしています。ゲーム業界大手の Zynga は、トルコの開発企業Peakを18億ドルで、Rollicを1億8,000万ドルで買収しました。そのRollicも、別のトルコのハイパーカジュアルゲームスタジオであるUncosoftを買収したばかり (条件未公開) です。一方、 Scopelyは3億4,000万ドルを調達しました。
あらゆる規模のゲーム開発企業が引く手あまたなのは明らかです。しかし、この数字は、世界のモバイル業界が依然として市場のトップからは大きく引き離されていることを示しています。まだ大きな成長の余地があるのです。多くの問題を抱えているからこそ、事実を徹底的に追求する必要があります。
モバイルゲームがブームになる中、開発企業が実際のデータを確認し、成功や失敗の原因を理解することが今まで以上に重要になってきています。誤った通念はまだ存在しているので、この記事では 2021年のゲームの成長を導く特に重要なポイントをいくつかのデータを介して解説したいと思います。
数が多ければ良いとは限らない
長い間、たくさんのアプリを取りそろえることがグロースの重要な要因であると考えられてきました。アプリのポートフ ォリオ全体でタイトルを宣伝することは、他のアプリを広める際に役立つ効果的で定評のある方法です。そこでAdjustは、開発者が提供しているアプリ数が、実際に成長スコアに関係しているかどうかを検証しました。
開発者は、ポートフォリオを拡大するべきか、または少数のアプリのクオリティを高めるべきか、どちらがグロースに重要なのかを明らかにするために、Adjust はデータを以下のとおり分析しました。その結果わかったのは、アプリの数が多いことと成長率の高さには必ずしも直接的な関係がないことです。
もちろん、これでゲーム企業が困ることはありません。ゲーマーを好きなアプリから次のアプリへと誘導すること自体は、いつまでも続けられるものです。しかし、エンターテイメントアプリの場合は、リターンが減少するポイントがあります。プレイヤーは常に新しくて楽しいゲームを求めているかもしれませんが、少数のストリーミングアプリだけを使い続ける傾向もあります。
クロス・プロモーションを活用すれば、パブリッシャーが持つアプリの数によらず、成長スコアを一定に保つことができます。そして実際に、100 以上の製品を所有するゲーム会社はサンプルの中で最も高い成長スコアを示しました。ポートフォリオのサイズと成長スコアの関連性は薄いものの、アプリマーケティング戦略にクロス・プロモーションを取り入れることのメリットは明らかです。また、少なくともゲームアプリの場合は、充実したポートフォリオも役立ちます。
数字で見るアプリのアップデート
調査対象となっていたもう一つの疑問は、アプリの一般的な「寿命」に関することです。Adjustは、アプリ開発者が自社のアプリを通常どれくらいの期間サポートしているかを知りたいと考えました。この調査を実施するため、2018年にリリースされたアプリに注目し、最後にアップデートされた時期を確認しました。その結果、ゲームアプリで、アクティブなアプリの数が最も少なくなるのは、リリースの24ヶ月後だということが明らかになり、最も寿命が短いことが分かりました。
2年後もアクティブなゲームアプリはわずか 43%であることがわかりました。短期的に大きなボリュームを追求し、回転数の早い傾向のあるハイパーカジュアルの性質を考えれば、この結果には納得できます。また、2 年後もサポートされているアプリの数が最も多いのがフィンテックやEコマースのアプリであることも、驚くことではありません。このような寿命が長いアプリは、ユーザーの期待に応え続けるために、頻繁なアップデートが必要になります。
しかし、すべての種類のアプリに見られた共通点も多くあります。アプリのアップデート頻度を見ると、開発者は最初は頻繁にアプリをアップデートしているものの、時間の経過とともに月あたりのアップデート数は少なくなることが分かりました。
最終的に、アクティブなアプリの平均アップデート数は、1ヶ月あたり3回でした。そのため、ロングセラーとなっている 43%のゲームの1つに皆さんのゲームが含まれているなら、定期的にアプリをアップデートし、進化するユーザーの期待に追いつく準備をしておきましょう。
2021 以降に向けての重要ポイント
モバイルゲームは2021年以降もトップアプリカテゴリの一つであり続けるでしょう。競争の激しいこのカテゴリの中で競争力をつけ勝ち続けるためにも、的確なポートフォリオの構築やクロスプロモーションを含めた継続的な流入施策が欠かせません。これらの新規獲得、エンゲージメント施策を成功に導くためにも正確なデータを元に適切な戦略を練ることが重要です。
この度はご協力誠にありがとうございました。
Adjust 日本ゼネラルマネージャー 佐々直紀プロフィール
佐々 直紀(さっさ なおき)
■ドイツ発のモバイルアプリ計測プラットフォーム”Adjust”の日本ゼネラルマネージャーとして、日本オフィスを統括
■多くのスタートアップを立ち上げから軌道に乗せた経験を持つ
■アプリ広告の計測に関して深い知見を持つ第一人者
1974年生まれ。2000年4月からデジタルマーケティングに携わり、オンラインモールのキュリオシティ、Yahoo!ショッピング、ショッピングサーチビカム、リターゲティング・DMPのVizuryにてAE、AM、マーケティング業務を経験。2016年1月からTUNEの日本法人の立ち上げメンバーとして、本格的にアプリ計測分野に参入、2016年11月よりAdjustに参画。数々のスタートアップの立ち上げから軌道に乗せた経験を生かし、日本ゼネラルマネージャーとしてAdjustの日本オフィスを統括している。