グローバルに展開するB2B SaaS企業であるadjust(アジャスト)株式会社(本社:独・ベルリン、代表取締役社長 兼 共同創業者:クリスチャン・ヘンシェル、日本ゼネラルマネージャー:佐々直紀、https://www.adjust.com/ja/)が、「モバイルアプリのためのUXライティングと10のルール」を公開しました。
完成度の高い独創的なモバイルアプリであっても、ユーザーにスムーズなアプリ内エクスペリエンスを提供するには優れたUXライティングが必要です。これはすべてのアプリカテゴリーに言えることであり、モバイルアプリの最適化に必ず組み込まなければならないプロセスです。このブログでは、モバイルマーケターが知っておくべき、UXライティングの定義と効果的な活用方法をまとめました。
目次
UXライティングとは
UXライティングとは、ユーザーがアプリを効果的に利用しナビゲートできるよう、必要なアプリ内の「コピー」を決定するプロセスのことです。UXライティングによってユーザーがアプリとどう関わるかが決まるため、非常に重要です。UXライターは、ユーザーとアプリのコミュニケーションのとり方を特定し、SEOやASOと同様に、その時々の状況において最適な言葉を選び出します。UXライティングの特徴から、モバイルアプリの場合は、アプリが対象とするオーディエンス情報を基に、ユーザーのニーズやアプリの弱点を抽出することからはじめます。
モバイルアプリ向けUXライティングの5つの基本
行動喚起 (CTA: Call to Action)
CTAは、ユーザーに特定の行動をとってもらうために使用する、マーケティング目標を達成するために欠かせない要素です。一般的に、短くて簡潔なCTAのほうがより効果を発揮します。また、ユーザーがCTAをクリックすると、具体的にどの行動が完了するのかを明確に伝えることも重要です。例えば、フリーミアムモデルを採用しているモバイルアプリの場合、CTA付きのインタースティシャル広告を表示してプレミアムサービスへのアップグレードを促すことができます。この場合、CTAは「今すぐアップグレード」などのシンプルな表記が良いでしょう。これにより、ユーザーに求める行動をはっきりと伝えられるだけでなく、ユーザーが意図せずにCTAをクリックして関心のないページに誘導されてしまう、といった状況を防ぐことができます。
ツールチップ
アプリ内の重要な機能は、より詳しい補足説明を必要とします。ユーザーが満足するアプリ体験をしてもらうためのサポートをするのが「ツールチップ」です。ツールチップは、ユーザーのオンボーディングをよりスムーズにし、アプリの新機能について説明するのに役立ちます。ユーザーの混乱を招かないよう、クリックすると機能の詳細を説明する「ヘルプ」アイコンや「?」マークが表示されたツールチップを設置すると良いでしょう。
成功/失敗通知
このタイプのUXライティングは、あるアクションが正常に完了したこと、またはアクションに問題が発生したことをユーザーに通知するためのものです。これは、ユーザーがファネルを進む際に特に役に立ちます。例えば、ユーザーの支払いが失敗した場合、ユーザーにその通知をすることは不可欠です。きちんと通知して混乱を防ぐことで、ユーザーは安心して再度支払い手続きをすることができます。
失敗の通知には、次になすべきアクションを明確にした情報を表示します。ユーザーがカートへ商品を追加し、購入を完了する前に関心を失ってしまう事態を防ぐことができます。
ナビゲーションオプション
ユーザーが個人的なニーズに合わせて、アプリをさまざまな方法で利用することがあります。この場合、ユーザーが希望するアクションを選択できる点を通知する必要があります。例えば、ユーザーが商品をカートに追加したら、直接支払い画面に進むか、買い物を続けるかの2つのオプションを提示します。よりスムーズなアプリ内エクスペリエンスを提供するために、複数のナビゲーションオプションを用意することが重要です。
アカウント管理
アプリユーザーは、新規アカウントの作成や、ユーザー情報の更新、あるいは、他のアカウント機能について知りたい時などに、何らかのサポートを必要とするかもしれません。このタイプのUXライティングは、アカウント情報を維持し、モバイルアプリが提供するオプション管理のプロセスを簡素化することを目的としています。例えば、ユーザー自身のソーシャルメディアページをアプリのアカウントと連携させたい場合は、効率的なUXライティングでユーザーをスムーズにガイドすることができます。
誰がUXライティングを担当すべきか
誰がUXライティングを担当すべきかは、会社の規模やリソース、構造によって異なります。理論上は、専門知識を持った開発者、UXデザイナー、コピーライターまたはマーケターがUXライティングを担当するのに適しています。最善の効果を得るためさまざまなコピーをABテストできる専門のUXライターが会社にいることが理想的です。しかし、リソースが限られていたとしても、ターゲットオーディエンスとのエンゲージメントより、機能性を重視しがちな開発者のみにUXライティングを任せないようにしましょう。さらに、UXライティングにはユーザーをスムーズにガイドするための特定のスキルが求められること、そして必ずしも優れたコピーが優れたUXライティングという訳ではないことを知っておくのも重要です。
UXライティングとマイクロコピーの違い
UXライティングとマイクロコピーは同じ意味を持つ用語ではありません。マイクロコピーとは、アプリ内のあらゆる場所に表示される、ユーザーにアプリの使い方を説明する短いテキストのことを指します。マイクロコピーはUXライティングに欠かせないものである一方、効果的なユーザーエクスペリエンスを提供するには他のタイプのコピーも必要です。例えば、ツールチップで新機能の詳細な補足説明をする場合は、より長いテキストにしなければなりません。
ベストプラクティス: 最善の効果を得るためのUXライティングのルール10
アプリ開発中にUXライティングに取り組み、デザインの問題を特定する
UXライティングは、UXデザインの問題を特定するのに役立ちます。開発プロセスの後半で問題が発覚するよりも、早い段階で改善点を見つけたいものです。例えば、ユーザーが機能を利用するために長文の説明が必要になった場合、その機能自体に問題があるという可能性に気づくことができます。これにより、機能を実際に実装する前に、より直感的に、使いやすくするためのソリューションを模索できます。
UX全体でライティングスタイルを統一する
UXライティングはユーザーに一貫したエクスペリエンスを提供する必要があります。テキストの長さに関わらず、UXライティングはアプリ全体で統一されたトーンを維持しなければなりません。ライティングのスタイルはターゲットオーディエンスを基に決定し、ユーザーにとって何がもっとも効果的かをテストして最適化することが重要です。
さまざまなフォント、色、テキストツールを使用する
優れたUXライティングは、さまざまな色、フォント、太字や斜体などのテキストツールを駆使し、テキストのもっとも重要な部分に脚光を浴びせます。多くのユーザーはこれに気付かないかもしれませんが、人気のモバイルアプリでは、このUXライティングテクニックが一般的に使われています。この最適化への工程においてライターはUXデザイナーと協力し、どの組み合わせが最善の結果をもたらすかテストする必要があります。
最善の結果をもたらすワークフローを作成し最適化する
これらのテキストはアプリ全体に実装されるため、UXライティングプロセスのワークフローを作成することが重要です。UXテキストがユーザーをスムーズにガイドすることを保証するために、ユーザーへのオンボーディングを優先するのが良いでしょう。アプリのどのエリアを優先するにしても、ワークフローを設定し、あらゆる側面がカバーされていること、詳細にまで気配りがされていることを確認することが重要です。
情報を選択的に表示する
すべてのUXライティングを直ちにユーザーに表示する必要があるとは限りません。表示する必要がある「重要な」テキスト、またはアイコンやポップアップをタップした後に表示されるべきテキストを特定することが重要です。不要な情報が含まれていると、ユーザーがアプリに不満を抱き、最悪の場合は離脱してしまう可能性があります。例えば、ユーザーが特定のアプリ機能を定期的に利用している場合、機能説明のUXライティングをいちいちタップして閉じるという行為を煩わしく感じるでしょう。
混乱を招く専門用語は使わない
技術的用語や業界用語を使って正確に説明したい場合があるかもしれません。しかし、これはユーザーエクスペリエンス全体に悪影響を与えてしまう可能性があります。アプリを利用するためにはどのアクションをとるべきか、ユーザーが理解できる簡潔で分かりやすいテキストを心がけましょう。また、現在形と能動態を駆使することで、メッセージをできる限りクリアに伝えることができます。
会話口調を使う
アプリの性質によっては、会話口調のUXライティングを使ってブランドへのロイヤリティを高め、ターゲットオーディエンスとつながることができます。多くの場合、適切な言葉選びをすることで、ブランドの人間らしい側面を見せることができます。例えば、メッセージをより広く伝えるには、ユーモアのある会話口調が有効かもしれません。または、出会い系アプリでユーザーにプロフィール画像をアップロードして欲しい場合、「画像をアップロード」とするよりも「あなたの笑顔を見せて下さい」の方がよりユーザーに届きやすいでしょう。
ユーザーからのフィードバックの価値を認識する
ユーザーの意見を聞くことで、ユーザーにとってもっとも重要なことを理解し、それに対応することができます。ユーザーが時間を割いてアプリを改善するためのインサイトを無料で提供してくれるのですから、そのフィードバックの価値を認識し、すぐに対応しない手はありません。ユーザーのニーズに対応することで、ユーザーの継続率と顧客生涯価値 (LTV) が向上します。ユーザーのフィードバックに応える姿勢は、ブランドへのロイヤリティを高め、ユーザーエクスペリエンスを最優先していると伝えることになります。
UXライティングのすべてのエリアでABテストを行う
UXライティングを最適化する方法を常に模索することは重要です。ABテストにより、キャンペーン目標に影響を与えることなく、最適化が必要な部分を特定できます。例えば、オンボーディングのメッセージを少し変更するだけで離脱率が低下し、LTVが向上するかもしれません。さらに、チャットボットのメッセージなどにもABテストを実施できます。
データに基づいたUXライティングの意思決定を行う
UXライティングを最適化するにあたり、常にデータに基づいた意思決定を行うことが重要です。データ主導の意思決定を行うことにより、導入する変更がユーザーの行動傾向やニーズに合っていることを確実にできます。さらにデータを活用して改善が必要なエリアを特定することで、収益を増加させ、もっとも改善が必要なエリアに無駄なく時間を割くことができます。例えば、アプリで多くのユーザーが購入せずにカートを放置するという異常な事態が発生した場合、支払いステップのUXライティングに問題があるかもしれない、などと原因を探ることができます。
モバイルマーケティングについてより詳しく知りたい方は、お気軽にAdjustまでお問い合わせください。
関連リンク
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●モバイルアプリのためのUXライティングと10のルール