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スマートドライブのマーケティング責任者が語る。モビリティーデータを活用したマーケティングとは

時計2020.08.31

更新2022.04.25

インタビュー、スマートドライブ大里 紀雄

株式会社スマートドライブ

SmartDriveは移動に関するビッグデータを収集し、移動の新たな価値を想像します。

Web広告・マーケティングのいまをお届けするsyncAD(シンクアド)インタビュー第4弾は、現在、スマートドライブにてマーケティング責任者としてご活躍されている大里紀雄氏に、スマートドライブとはどの様な会社なのか。またどの様なサービスを提供しているのか。地方では当たり前の車社会。都心部の方も休日はお出掛けの際に車で移動される方も多いと思います。今回はそれらのモビリティデータを活用したマーケティング活用方法や事例などお聞きしております。

インタビュー概要

本記事は、まずは「パーソナライズ」「OMO」といった現在の企業が置かれている状況について改めて整理をし、「モビリティデータを活用」してオンラインとオフラインの垣根を取り払う方法や、マーケティングにおける「モビリティデータの活用事例」を紹介させていただきます。

スマートドライブとは?

皆様はじめまして。スマートドライブにてマーケティング責任者をしている大里と申します。前職はマルケトというMA(マーケティング オートメーション)ツールベンダー企業にてコンサルタントをしていました。その前はWeb制作会社にてDMPの構築支援とか、GAプレミアムの実装や運営をしたりと、いわゆるデジタルマーケティング出身です。今はというと、責任者としてマーケティング全般をマネジメントしております。
さて、私が務めているスマートドライブという会社について簡単に紹介させてください。弊社は2013年に創業しまして現在の社員数は80名ほどです。本社は東京ですが、国内拠点として大阪、東海(名古屋)にも支社があります。 海外拠点としてはマレーシアを中心に東南アジアでビジネスを展開しています。

パーソナライズされたメッセージの重要性

それでは本題に入っていきたいと思いますがその前に簡単に質問です。

「1日に目にする広告の数はどの程度あると思いますか?

答えは約3,000です。朝起きてから寝るまでに目にする広告は約3,000もあるのに、翌日記憶に残っているのは3件ほどと言われています。これは、テレビCMだけでなく、インターネット上のバナー広告、街中の看板、ポストに入っているチラシ、電車内の掲載物やつり革の広告など全て含めた数字ですが、よくよく考えてみると広告という形で現代人は溢れんばかりのマーケティングメッセージを日々受け取っていると実感できるはずです。そして、昨日見た広告を思い出そうとしても、必死に考えた結果、ようやくいくつかの広告を思い出せる程度ではないでしょうか?そうです、広告のメッセージは企業が思っているほど消費者の心には届いていないのです。

スマートドライブ のマーケティング責任者が語る。モビリティーデータを活用したマーケティングとは

さらに、今は当然のようにインターネットで欲しい情報にアクセスできますので、購買行動を起こす前に情報を取集しています。例えば自動車を購入する際にカーディーラーへの来店回数は2005年には5回だったのが、2018年には2回までに減少しています。そして、自動車購入者の95%が事前にインターネットなどで情報収集を行っています。(Google / TNS調査による)つまり、企業が預かり知らないところですでに顧客はすでに購買の意識を固めることが増えています。

このような状況に対応するため、MAやAIを活用したパーソナライズされた双方向コミュニケーションに取り組んでいる企業が増えています。私には小学3年生になる娘がいるのですが、幼稚園生の頃からYouTubeやNetflixをよく見ていますので、自分に最適化されたレコメンドを受けるのがあたり前の世代です。そんな娘が郵便ポストの中で山積みなっているチラシをまじまじと見て「これ誰宛のチラシなの?」と聞いてきました。もはやターゲティングされていない広告などが理解できていないようです。また、少し前まではテレビCMをNeflilxのようにスキップできないことにイライラしていて、自分にとって興味のない広告に対してある種の不快感を覚えているようでした。当然、これはあくまで私の家庭の話ですし、個人の感想となります。とはいえ、遠くない未来にはレコメンドネイティブ世代が増えてきます。すると、今までよりもさらに1人1人に最適なメッセージを最適なタイミングで届ける必要性が増し、レコメンドやパーソナライズされたコミュニケーションが当たり前となっている時代が訪れるでしょう。

スマートドライブ のマーケティング責任者が語る。モビリティーデータを活用したマーケティングとは

すべてがオンラインにコネクテッドされた世界へ

ここまでは顧客のライフスタイルの変化によって、企業からの情報を届けることの難しさや、パーソナライズの重要性などについて説明しました。おそらく「これらの話はオンライン広告やデジタルマーケティングだけの話でしょ?」と思ったかもいらっしゃるかもしれませんが、もはやオンラインもオフラインも統合された時代がやってきています。
「アフターデジタル」という書籍を読まれたかはご存知でしょうが、OMOという概念が注目されています。OMOとは、「Online Merges (with) Offline」を略した言葉で、「オンラインとオフラインを統合(融合)」という意味で、顧客体験の最大化を目指しオンラインとオフラインの垣根を超えて価値創出していくマーケティング施策です。(すこし前まで注目されていたオムニチャネルやO2OとOMOの違いなどについては本題とずれるので割愛します)
中国のスーパーマーケットや顔認証で支払える決済システム、AmazonGOなどがOMOの先行事例として取り上げられています。こうした海外の事例を知ると「日本はダメだな。世界に置いてかれてる…。」と思うかもしれません。しかしオンラインとオフライン、デジタルとフィジカルが統合された状態の生活になりつつありませんか?実感はないですか?

自宅にいる時はWiFiに接続されたスマートフォンをつかって、メールをチェックしたり、動画をみたり、レシピを調べたり、SNSをみたりしていませんか?しかも、パソコンやタブレットにデバイスを切り替えるのはもちろん、上級者は複数のデバイスを同時に操って生活をしています。この自宅での生活はオンラインとオフラインが分断されている状態と言えますか?もはや、オンラインに囲まれている空間に物理的な体が入り込んでいる状態といえませんか?このように生活者として日常を振り返るとOMOの世界で生活している実感は何となくあるのではないでしょうか。

一方で事業者としては、オンラインとオフラインの垣根を超えたマーケティングにむけて様々なチャレンジが行われています。
例えば、とあるアパレルブランドでは、ECサイトで購入した情報と店舗で購入した情報を顧客IDをキーにしてデータを統合し、メールやSNS、LINEなどの複数チャネルでパーソナライズしたおすすめアイテムをレコメンドしたり、ビーコンを活用して実店舗に近づいた顧客に通知と共にここでもパーソラナライズしたレコメンとをだしたりしています。
B2Bにおいても、コロナ禍以前はこんなにも多くの企業がリモートワークやオンラインミーティングを行うなんて想像できませんでした。それが今では、当たり前のように商談すらもオンラインで行われています。これが、OMOかと言えば違いますが、対面営業だけでなく、展示会やセミナー、カンファレンスなど様々な施策がオンラインで行われるようになってきています。世界に比べてスピードは遅いかもしれませんが、OMOに向けてにおいて、B2Bでもオンラインとオフラインの間に引かれた大きな溝を乗り越えようとする取り組みは着実に進んでいると感じます。

インタビュー、スマートドライブ大里 紀雄

運転中の自動車はオンラインにコネクトされているか?

都心部にお住まいの方であれば、電車通勤の方々ほとんどでしょうから、移動中もスマートフォンが欠かせないデバイスでしょう。電車の中でも自宅と同様にスマートフォンというデバイスを介して常時オンラインに接続された状態かと思います。

次に地方にお住まいの方を考えてみたいと思います。地方は車社会ですので、通勤するにも自動車を使用し、遊びにいく時も、買い物にいく時も自動車が欠かせないのが実情です。では、運転している時はインターネットにコネクトし、オンラインとオフラインがマージされている状態でしょうか?運転中にスマートフォンを操作することはできませんし、コネクトしているといえばラジオやカーナビで得られる情報はありますが、双方向ではなく、一方通行のやりとりです。たしかに、スマートフォンの地図アプリやカーナビアプリを使いながら運転している、というケースもあるでしょう。ですが、このケースも一方的に得られる情報を利用しているだけで、ラジオと大差ありません。では、どのようにすればモビリティデータを活用して、オンラインとオフラインの溝を超えて、適切なタイミングで、顧客が求めているパーソナライズされたコンテンツを届けることができるようになるのでしょうか?

モビリティデータを活用したマーケティング

モビリティデータを取得できたら、飲食店からレジャー施設、コンビニから観光地などのオフラインの行動情報を取得できるようになる!と気づかれるでしょう。今までは、属性情報とオンラインの行動情報とを掛け合わせてターゲティングしていましたが、オフラインの行動情報を活用することで、今までよりも適切なタイミングで、お客様の求めているマーケティングメッセージを届けることができるようになります。モビリティデータを活用するまえ段階の、移動体からデータ取得が大きなハードルとなります。ただ、ここで多くの方が壁にぶつかります。移動体はWebサイトのように簡単なデータ取得が難しいのです。その点、スマートドライブでは、自社開発したIoTデバイスをシガーソケットに挿すだけで様々なモビリティデータを取得することができます。また、自社デバイスだけでなく、通信型ドライブレコーダーなどの3rdPartyのデバイスからのデータの取得ができますし、ホンダ社のEVバイクからもデータを直接取得することも可能です。このような方法で様々なデバイスからデータを取得ができます。

インタビュー、スマートドライブ大里 紀雄

またモビリティデータを利用するため、取得したセンサーデータを使いやすいに加工する必要があります。普段から皆様が使用しているGoogleアナリティクスで見ているグラフなどは、トラッキングコードでデータを得た後に、加工やクレンジングをしたものを見ているのですが、それと同じで、生データを使いやすいように加工する必要があります。

さらにデータを取得・加工しても溜め込んで置くだけでは何も生まれませんので、活用しなければなりません。たとえば、APIなどでモビリティデータを取得して、自社サービスに組み込んだり、BIツールでモビリティデータの可視化や分析を行うことで初めて価値が創出されます。

スマートドライブでは、このデータの「取得」「解析」「アウトプット」のまでを簡単にできるアーキテクチャになっておりますので、これらのプラットフォームを活用して自社のマーケティング活動に活用にしてもいいですし、お客様用のモビリティデータプラットフォームを構築することも可能です。

インタビュー、スマートドライブ大里 紀雄 モビリティデータを活用したマーケティングビジネスモデル

モビリティデータをマーケティングに活用する取り組みの事例

それでは、最後にモビリティデータをマーケティングに活用している企業を紹介させていただきます。

ロイヤリティマーケティング

ポンタカードを展開するロイヤリティマーケティングとスマートドライブは、Mobility Data Platformの移動データを活用し、ポイントサービスの実証実験を実施しております。実証実験へ同意いただいたPonta会員を参加対象モニターとし専用デバイスを配布し、ロイヤリティマーケティングは自動車にセットされたデバイスを通じて収集した移動データと、Ponta提携店舗やその周辺の利用状況を掛け合わせて分析。今後、Mobility Data Platformを用いたデータ利活用を通じて、9,000万人以上のPonta会員の興味や関心に寄り添うサービス開発など、新たな事業・サービスの創出を目指しています。

さらにはマーケティングとは異なる視点になりますが、地域社会の持続的発展に向けた、モビリティデータの活用も進んでいます。

小田急電鉄

小田急沿線において、家族見守りサービス「SmartDrive Families」を連携して提供することを2020年3月から開始し、「安心・快適な新しいモビリティ・ライフの実現」に向けて協業しております。将来的には、「SmartDrive Cars」の安全運転に対するポイント付与機能の活用や、ドライビング評価をきっかけに免許返納を行う方や運転に不安を覚える方への公共交通機関の利用の提案、MaaSや地域密着型サービスプラットフォーム「ONE(オーネ)」との連携などを通じ、社会・地域の持続的発展を目指します。

出光昭和シェル

超小型EVカーシェアリングの実用化に向けた実証実験を実施しております。出光興産が2019年8月より岐阜県飛騨市および高山市で展開している、超小型EVを活用したカーシェアリング事業化に向けた実証実験において、当社の「Mobility Data Platform」をご利用いただいております。

生活者のオフラインデータを取得するだけでは、データを取られるだけでは何もメリットがないので、今までよりも心地よいマーケティングコミュニケーションや、地域社会の発展など、メリットが必要となります。とはいえ、これだけでは消費者にとっては直接的なメリットが感じられないので、モビリティデータを提供してくれる方はまずいません。

スマートドライブ が提供しているサービス

スマートドライブ が提供しているサービス

SmartDrive Families(高齢者の運転 見守りサービス)

運転が心配な高齢のご家族を、リアルタイムで見守れるサービスです。遠方に住む家族の運転を見守るだけでなく、同居中の家族でもご利用いただいております。たとえば、帰宅中のに運転している車両の現在位置を確認して、料理を作りはじめたり、お風呂を沸かしたりと普段の家族生活のなかでご利用いただいております。

SmartDrive Cars(ドライバー エンゲージメントサービス)

自社の顧客にデバイスを挿して、運転をすると安全運転の度合いに応じてポイントを発行することができます。ポイントはコンビニおにぎりやジュースと交換することはもちろん、自社独自のサービスと交換も可能です。他にも走行距離や走行時間などのデータも得ることができますので、カーディーラーさんであれば「xxkm以上走行していた方にオイル交換の割引券のオファーをアプリに通知」「最近来店されていない方が、店舗近くにきたら洗車無料のオファーを通知」などといったことが可能になります。

これらのサービスは弊社が提供しているものですが、当然モビリティデータも合わせて取得することが可能ですので、自社のCRMと付け合わせて分析をしたり、MAに取り込んで、さらに精度の高いマーケティングを行うことも可能となります。モビリティデータの活用に興味のある方は是非ともお気軽にお問い合わせください。

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モビリティデータを活用したデジタルマーケティングとは?


コロナ禍によって消費者の意識はどのように変化したのでしょうか?
当セミナーでは、まずはトヨタ自動車100%出資のハウスエージェンシーであるデルフィス様から、大規模調査から見えてきた消費者の変化と、それに合わせてマーケティングはどのように変化すべきかをご紹介。続いてスマートドライブから、モビリティデータをマーケティングに活用する方法を解説。
最後にテレビCMでもおなじみのマーケティングオートメーションツールを提供するSATORI様より、最先端のマーケティング手法について紹介しました。

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大里 紀雄プロフィール

大里 紀雄(おおさと のりお)
大里 紀雄(おおさと のりお)大手Web制作会社にてチーフデータアナリストとして、DMPの構築および活用支援、広告運用の業務に従事。その後、マルケトにてシニアビジネスコンサルタントとしてマーケティングオートメーションツールの導入支援を行う。
業種を問わず、大手企業から中小企業まで、コンサルティングを経験。現在はスマートドライブにてマーケティング責任者として「移動の進化を後押し」するため、日夜奮闘中。

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